テレビのニュースなどを見ていると台風や豪雨などで水害の被害にあった場所での被災者へのインタビューで、「今までこんなことは起きたことはなかった。」とか、「この土地には40年住んでるけどこんなのは初めてだ。」などといった言葉をよく聞く。
地震や火山噴火ならば、一部の活発な地域を除けばさもありなんと言ったところだが、台風はシーズンになればいくつかはやってくるだろうし、大雨や大雪だって年に数回降ったとしても不思議ではない。ではなぜ40年間大丈夫だったのに、ここへ来て災害に見舞われたのかというと、環境の変化により異常気象や気象災害が以前より激甚化しているからだ。
これは日本だけの問題ではなく、地球規模で全世界に起こっている。主に大雨、台風、ハリケーンやサイクロン、熱波や高温、少雨による被害も出ている。これらの災害は年々大きくなり頻度も増している。
年々台風などの気象現象が強大化すれば、そりゃ災害も大きくなるだろう。簡単に過去との比較はできないから今までの経験も役には立たないし、反対に危険な思い込みにも繋がる可能性だってある。
この地球規模の異常気象や気象災害の主な原因はとなると、やはり温暖化となるだろう。
世界気象機関(WMO)によると、2023年は観測史上最も平均気温が高い年になるそうだ。
地球の温暖化は、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが増えてきて濃度が高まり、太陽によって暖められた熱がこもることによって起こる。
では、なぜ温室効果ガスは増えるのか。
温室効果ガスの75%以上を占めている二酸化酸素は、私たちの生活に不可欠な電機などのエネルギーを作るために、石油、石炭、天然ガスなどを燃やすと発生します。ちなみに牛のゲップなどで表現されるメタンは15%弱、その他が数%の割合だ。
温室効果ガスが増えて地球の気温が上がると何がマズいのか。
まず、地球の気温が上がると海水は温められて熱膨張を起こす。そして、南極やグリーンランドの氷床が溶け出して海面上昇を引き起こす。
海面が上昇すると高潮などに影響が出て、水害が発生しやすくなる。
さらに、近年の急激な海面上昇が原因で、オセアニアなどの小さな島国では徐々に水没などの水害が発生し始めていて、ツバルでは既に集団移住が計画されている。また、オランダやヴェネツィア、バングラデシュや東京などの、いわゆる海抜ゼロメートル地帯でも対策が重要課題となっている。
ほかにも海水が温められると水蒸気がより多く発生することになる。そこで発生した台風により多くの水蒸気が供給され狂暴化する。7月から9,10月辺りにやってくる台風は、日本の南東の赤道付近の海上で生まれ、暖かい海から供給される水蒸気をエネルギー源としてぐんぐんと発達しながら西へ向かうのだが、その時期は偏西風にあおられ北を向き日本に猛威を振るう。また、台風だけではなく、日本近海も暖かくなっているので単純に雨雲も発生しやすくなり、雨の降り方も、激しくなってきている。
また、これは災害ではないのだが、海水の温度が上昇した影響で、今まで取れていた魚が取れなくなり、南の地方で取れていた魚が取れるようになっている。例えば、フグで有名な山口県や福岡県の漁獲量が減ってきて、北海道の漁獲量が増えていたり、北海道でよく獲れていたホッケやカレイが減り、以前はもっと南の海にいたハタやシイラが増えているそうだ。他にもサバ、ブリ、サワラ、サンマ、イワシなどが北の方へ移動して取れなくなってきているらしい。私は魚料理が好きなのでそういった今まで定番だった魚たちが遠く北の海に移住してしまうのはとても寂しい。
人類もさすがにこのままではいかんと思ったのか、1992年に国連で採択された気候変動枠組条約を結んだ国や地域が参加するCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)では、大気中の温室効果ガスの濃度の安定化を究極的な目標としていて、目標実現のための国際的なルールづくりをはじめた。
第1回目は、1995年にドイツのベルリンで行われ(COP1)、今年2023年は12月にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで28回目の「COP28」が開催された。世界の主だった国々の首脳級の人たちが出席し、温室効果ガスの排出量を少しでも削減して地球温暖化を食い止めようと必死だ。しかし、地球規模となるとそれぞれの国の思惑もあり、一致団結するのは容易なことではない。
今回も日本は不名誉な「化石賞」をいただいた。
世界の二酸化炭素排出量は2020年で314億トン。 国別で日本は、中国32.1%、米国13.6%、インド6.6%、ロシア4.9%に次いで5番目の3.2%。
日本は人口の一人当たりに換算するとどうのこうのとか、エネルギー効率の観点からはああだこうだという人もいるが、排出量の多い国には違いない。
工業化や都市化が進む現代社会で二酸化炭素を排出せずに活動することは難しいだろう。しかし過剰な資源利用が地球環境を変化させ、それが私たちの生活や安全を脅かしているのは間違いないと言える。持続可能な開発と適切な防災対策が重要であり地球環境の保全が不可欠である。
コメント